東京都における新型コロナウイルス感染症第3波流行の分析と対策について(2021年1月29日)

  新型コロナウイルス感染症の第3波感染拡大も非常事態宣言発令後急速に縮小されてきました.そこで都の公開データを用いて,前報に続いて東京都の1月24日までの第3波感染拡大・縮小の状況を解析し,今後を予測しました.

主な内容を以下に示しますが,多くの方々,特に感染症専門家,行政の方々の一読を希望します.

  • 感染症流行現象の(S)IR理論を再度解説し,新型コロナ感染症と人類の戦いは,ウイルスの感染力と人の交流による拡散力との相乗効果による感染率βとPCR等の検査・隔離率γとの戦いであることを示しました.
  • 陽性率をも考慮した検査人数に対する検査・隔離率γの因果関数を用いて,新規陽性者数の実データから第3波の感染拡大・縮小過程でβとγの戦いがどのように推移してきたかを明らかにしました.
  • 非常事態宣言により社会・経済活動を縮小・自粛するのは,人類がウイルスに負けて耐え忍んでいる状態を意味します.人類がウイルスに勝つためには,情緒的思考ではなく,(S)IR理論に基づく科学により,検査・隔離体制を強化して常にγをβに負けないような戦略をとることです.
  • 1月20~24日の日毎陽性者の減少度から推測すると2月7日には新規陽性者は500人以下になりますが,保健所は自宅待機者の入院調整作業のため検査人数も低下しつつあるので,宣言解除すれば感染再拡大が始まります.
  • 非常事態解除後の再燃を防ぐために,1月8日の感染率最大値に負けない検査・隔離率を準備するには,1月24日の7日間平均検査人数10108人の約1.9倍の19000人/日が可能となる検査・隔離体制が必要です.
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